ふにょの備忘録

かんそうをかく。

イセスマ感想文

異世界はスマートフォンとともに」という、異世界ものなろう小説の走りがあるわけですが、大人気みたいで、アニメ化しているんですね。23年春アニメで2期もやるっていうんで、友人に強制的に見せられましていやいや、ちょっと見てみたわけですよ。全話、12話。

 

せっかく見たんで、思ったことを書き残しておこうと思うんですけど、最初にこれだけ言わせて。一人だったら一話の途中で切ってる。きつすぎ。

 

さて感想といっても全話について詳しく感想を述べるのもさすがに面倒だし、というか展開が早すぎて何が何話だったのかいまいちわかんないので、ざっくりとだけ。

 

物語のあらすじは、主人公が神の手違いで死んで異世界で第二の人生を歩むんだけど、一つだけ願いがかなえてもらえるとかでスマホを使えるようにしてもらうのね。それとは別で神様による特別仕様で異常に強くなるわけ。そしてスマホはほとんど関係ないんだけど、圧倒的な強さで女の子たちを圧倒しつづけてハーレムを築く話です。展開がめちゃくちゃ早くて、イベントは発生するんだけど主人公が最強すぎて困難が訪れないため、起伏がない。サクサクと進んで嫁を集めていきます。

 

アニメの場合、だいたい物語の7割くらいは、

女の子と出会う→女の子に魔法を教えてもらう→女の子の上位互換になる→女の子はただのかわいい要因に成り下がって「きゃーすごーい」と主人公をもてはやしなぜか惚れる

を何回か繰り返します。何回か繰り返して主人公がかなり強くなり嫁も増えたあたりで11話と12話でみんなとキスして婚約するラス殺しして謎の2期への伏線貼っておしまい。「まるで将棋だな」とか、なんかいろいろ名言迷言はあったね。途中までは突っ込みどころは無限にあるけれど、ギャグアニメだと思えばギリ耐えられる。それよりも、問題は主人公の異常な気持ち悪さだ。

 

この物語、主人公が相当気持ち悪いのだが、並みの気持ち悪さではない。まず虚無で意思がなくて葛藤も当然なくて倫理観も正義もなければ罪の意識とかも多分持たない。やりたいことすらない。いまどきAIだってもっとかわいげある。

 

あと、ハーレムもののライトノベルなので、ラッキースケベ的描写はいいですよ、いいんですけど何か違う。そもそも主人公は中学生の男の子なので、思春期でしょうし、性的なものに興味を持つ描写があっても全く構わないんですけど、たぶんこの主人公、性に興味があるのではない。「ラッキースケベ的展開」をナチュラルに作っていくんだけど、「それ自体」に満足していて、その根底にはやっぱりなんにもなくて空っぽなんですよ。えっちなことに興味がある主人公は描かれずに、安易なえっちな展開を望む視聴者だけが意識されたような構成で、それがなんというかびっくりするほど気持ち悪い。主人公はただの「ラッキースケベマシーン」なんですよ。あまりにも作者が透けて見える、こんな気持ち悪いアニメ初めて見た。

 

その気持ち悪さを煮詰めたみたいなのが11話と12話なんですけど、これがまたきつい。ここまできて「序盤は面白かったかもな……」と思い直してしまうほどきつい。

 

どうやってもいいところが思いつかないのであんまり書けることはないのでおわり。これ原作が250万部売れてるときいて、恐れおののいてるわ。しかも、無料で読めるなろうの本わざわざ買う層って主に大人よね……おそろしい。