ふにょの備忘録

かんそうをかく。

『短篇七芒星』舞城王太郎

備忘録

 

読んでからずいぶん経ってしまったのですが、完全に忘却する前に一応書き残しておきたいなと。人に読ませるつもりで書いていないので、本当に私の備忘録なんですけど、せっかくなら公開してしまえと

 

私はあまり、本の感想を述べるのが得意ではなくて、書いてあった通りだったっていうどうしようもない言葉しか浮かんでこないのですが、そうはいっても何か残しておかないと読んだ内容も忘却してしまうし。

 

月に一回弱、小説の読書会をしており、そのなかで読んだ本です。タイトル通り短編集で、7本収録されています。なのでひとつのお話は、結構短くてサクッとよんで不思議を摂取できるお手軽な感じ。ひじょうに読みやすく、読後感もわりとよかったんだけれど、「分かった」というすっきり感はなかった。すっきりしない分読後に何か残ってくるような気がして、いわゆる「味がある」ということなのかあと思うなどした。

 

舞城王太郎の作品を読むのは、初めてでしたがなんだか、不思議でちょっと怖いできごとを、受け入れざるを得ないような当たり前さで書き綴られていた。そうとう、変なことを書いているんだと思うし、実際変なことを書いているんだけれど、妙に受け入れやすい雰囲気があった。

 

一つ目の話は連想について。名探偵がでてきて、会話が主体で進んでいく。一番普通に読みやすかったような記憶がある。読んだの一か月以上前であまり印象強くはないけれども。導入としては受け入れやすかった。

 

二つ目が、銃弾が消える話。これは突然、やけに冷静で淡々としたファンタジーに突き落とされたような気分になって読んだ。ただ、そんな不思議なできごとも、あることを「そうである」とだけ受け入れる姿勢で描かれており、実世界もそんなもんかって思った。

 

三つ目は、ドーン!という音が毎日鳴る話。いやこれは不思議な話と見せかけて種も仕掛けもあったので、不思議じゃないのかって思ったような。急にお父さんが冷静に解決していく。お父さんはすごい。

 

四つ目は、石の話。これは種も仕掛けもなく石がストーカーしてくるとんでもないはなし。わたし、石結構好きだけどこんなんされたら泣いちゃうよ。そして、意味わかんない現象が起きているにもかかわらず、すべての登場人物が怖がってはいつつも受け入れていて、適応能力の高さに脱帽せざるを得ない。いやしかし、なんか好きな話だった。ここまででは一番好きな話。

 

五つ目は、あれだ、二重人格の人間の後ろ側にいる人格みたいな存在視点で繰り広げられる話。いやこれは不思議っちゃ不思議だけど、もしかしたらそういうこともあるのかもなあと、割と納得できる(?)というか受け入れやすい。ここまでの話、受け入れがたかったことはあまりないけれど、普通に受け入れられる話だった。

 

六つ目は、兄の彼女の弟がさらわれて兄がぼこぼこになる話。かわいそうに。痛々しいったらないよ。でも兄は結構丈夫で犬の心配もしててすごかった。かっこいいね!いやそうでもないかな。何か言ってるようで何も言ってないような印象を受けたけど読んだの結構前であまり覚えていない。兄は叫び、犬がめっちゃ吠えてた気がする。

 

七つ目は豚の話。これはびっくり、不思議だしちょっと怖い。というか、なんとなく実際にありそうな微妙な不気味な不思議さのテンションで淡々と進んでいくからなんとも。不思議なことが起きていて、でもお話の中では、「それが不思議かどうか」は問題とされない感じがある。受け入れるか受け入れないかしかない感じ。

 

この世界に不思議なことはあんまりないのかなって7つ全部通して感じた。奇妙なことや怖いことはあるけれど、全部が受け入れられるんだなあって。あることをあるがままに信じるすごい人間しかでてこなかった。すごいや。私もそうなりたい。